「⋯っ」
「梅?」
「ちょっと、こっち来て⋯」
きょーくんにそう言った私は人気のない廊下の隅にきょーくんを誘導した。
ここはちょうど死角になっていて人目にもつかない。
「⋯きょーくん、」
「なに?」
「⋯きょーくんは⋯」
目の前に立つきょーくんをしっかりと見据える。
その優しい瞳が大好きだ。
その瞳に見つめられるとドキドキして、だけどすごく心地よくて⋯きょーくんのそのブラウンの瞳が大好きだ。
だけど今は⋯その瞳を見るのが怖い。
見つめるのが、見つめられるのが⋯⋯怖い。
いつもとは違う、不安げなドキドキとした鼓動を抑える様にギュッと制服のリボンを掴んだ。



