すると、「小梅ちゃーん!」とまたガバッと抱きつかれた。
今度はさっきより力が入っていなかったからかよろめく事はなかった。
「真帆ちゃん、どうしたの?」
いつもより数段高い真帆ちゃんのテンションに若干戸惑いながらもそう問うてみれば真帆ちゃんはその大きな瞳をキラキラと輝かせた。
「聞いて!聞いて!聞いて!」
「う、うん。どうしたの?」
「あのね!遂にね!」
「うん」
ここで真帆ちゃんは急に私の耳に口を寄せて小声で話し始めた。
さっきまで大きな声だっただけにその行動に疑問を持ちながらも少し屈んで真帆ちゃんの次の言葉を待つ。
「えっとね、」
「うん」
「私、なんと⋯!」
「?」
「片山先輩と付き合うことになりましたー⋯!」
頭が真っ白になるとはこういう事なんだと身をもって知った。



