「あっ!翔くん!ごめんね」
今度は私の前から可愛らしい声が聞こえて私がよろめいたのは真帆ちゃんが抱きついてきたからなんだと理解した。
って、それよりも翔くん?
真帆ちゃんの視線は私の後ろに注がれていて私と真帆ちゃんを支えてくれていた彼がクラスメイトの山野 翔(ヤマノ カケル)くんだと気づく。
そして彼がずっと私を支えてくれていたことにも⋯。
「っあ!ご、ごめんなさい!」
慌てて彼から離れるとにこりと笑って「いいよ」と言ってくれた。
クラスメイトだというのに今まで話した事のなかった上に初めて喋ったのがこの状況。なんだか気まずいなと思ったけれど山野くんの優しい印象を与えるその笑顔に一気に安心した。
そしてそのまま席の方へ向かっていく山野くんに心の中でお礼を言った。



