ドボドボと保健室までの廊下を歩いていると前からよく知る人物が歩いてきた。
「あれ梅。どこ行くの?」
私を不思議そうに見るきょーくん。朝も一緒に登校したけれど真帆ちゃんとの話なんて一切していなかったのに⋯。
なんだかザワザワしたものが胸の辺りから感じてきょーくんをキッと睨んだ。つもりだけど実際は俯いたまま言葉を発した。
「きょーくん⋯」
「どうした?」
「土曜日⋯」
「ん?」
「土曜日、その⋯真帆ちゃんとデートした、の」
「⋯⋯あぁ、そうだね」
きょーくんは一瞬考える素振りをした後、ハッキリと肯定した。
ズキン、と痛む心。
痛くて痛くて涙が出そうだ。



