悲しくなんてないのに涙が込み上げるのは。



きっと綺麗だからだ。


次々に花を咲かせては一瞬で暗闇に消えていく花火が、儚くもとても綺麗だからだ。

そしてそれが私の心の奥にある恋心ってやつを擽って切ない気持ちにさせるからだ。




きょーくんと花火を見れて幸せなのに、楽しいのに⋯⋯すっごく幸せなのに⋯⋯ほんの少しの恐怖。






どうか⋯どうか。

また、こんな風にきょーくんの隣で花火を見上げられますように。

そして願わくば、私の恋が実りますように。




叶わない事なんてどこかで分かっていながらも、夜空に咲く花火に願わずにはいられなかった。