「梅っ」


自動販売機で買ったのであろうミネラルウォーターを片手に私の横たわるベンチへと走って来るきょーくん。


焦ったように私の元へ駆けて来てくれるきょーくんに、ギュッと胸が痛くなってまた、涙が溢れた。






「梅っ、ごめん。遅くなって。そんな泣くほど気持ち悪かった?」



ああ、きょーくんがそんなに焦った表情なのは私が泣いているからか、と。
本当の理由は違うけどきょーくんにこんなに心配かけて申し訳ないと思った。それと同時にまた、きょーくんにそんな顔させる自分が嫌になる。





「梅、取り敢えず水飲もう?起き上がれる?」



甲斐甲斐しく私の面倒を見てくれるきょーくんに頷いて受け取ったミネラルウォーターを口に含む。


あ⋯少しだけ気分が良くなった。




「ありがとうきょーくん。少し楽になった」

「良かった⋯」

「⋯それと⋯、」


安心したように微笑むきょーくんにギュッと拳を握る。


「それと⋯、ごめんね」

「⋯⋯、」

「こんな事になっちゃって⋯迷惑かけて⋯楽しくないよね⋯?」

「⋯⋯」

「⋯本当に⋯ごめんなさい⋯」



俯いた私にはきょーくんの表情は分からなかった。
だけど黙ったまま私の隣に座ったきょーくんに無意識に顔を上げた。