私が吐いたため息なんて、一歩前で楽しそうに話している2人には─────────きょーくんには聞こえていないと思ったのに。
「梅」
足を止めたきょーくんはさりげなく私の隣にくるといつもと変わらない優しい笑みを浮かべた。
「梅も─────ってバンド好きだって言ってたよな?」
「えっ⋯、あぁ、うん好きだよ」
「小峰さんも好きなんだって」
「え、そうなの?真帆ちゃん」
「うん!CDも持ってるよ」
「そうだったんだぁ⋯!」
突然きょーくんに話を振られてビックリしたけど、それはきっときょーくんの優しさで。
私が後ろにいる事に、そしてため息を吐いた事に気づいたからこうやって私も話に入れる様にしてくれたんだと思う。
それに前に私がポロッと「このバンド最近好きなんだ」って言った事を覚えててくれていたなんて⋯⋯あぁ、また胸の辺りがきゅうっと痛い。
嬉しいような、切ないような不思議な感覚だよ。



