美紅が気まずそうに言った。


『どうしたの?』


『うーん、別にいいんだけど、あの子、いい噂ないからね』


『私も聞いた。なんか、おとなしそうに見えて意地悪らしいよ』


菜美まで…


『でもさ、1人で練習はやっぱり寂しいと思うし、練習だけは一緒に行ってあげようよ』


人には優しくしなさいって、母の口癖だった。


良い事をしてるって、その時はそんな風にしか思ってなかったんだ。