かわいい戦争




これじゃあ普通に言っても届かない。


恐る恐る未來くんの服の裾を引っ張った。



「ん?どったの~?」


「あ、あの……耳!」



耳を示すと、背を曲げてわたしに耳を近づけてくれた。



「ありがとう!」



できるだけ大きな声で伝えたら、ちゃんと届いたようで「どういたしまして~」と間延びした口調で返された。


未來くんがモテる理由、わかっちゃった。

こういう気遣いをさりげなくできちゃう人なんだ。


今まで第一印象でなんとなくチャラいイメージしかなかったけど、本当はジェントルマンなのかも。



現に未來くんのおかげで、リタの応援に専念できる。



今日は大事な大事な卒業ライブだもん。


どんな瞬間だって見逃せない。



かっこいい登場から3曲連続ノンストップで、人気曲を披露した。



ステージを惜しみなく使った、歌とダンスのクオリティーの高さ。


女の子の武器をふんだんに盛り込んだ、グループ名にふさわしい魅せ方。


主役のリタを全面的に引き立てる演出。



どれもがわたしの心を躍らせる。

“かわいい”は正義だって、訴えてくる。



ペンライトを振る腕がもげてしまいそうなくらい思い切り振って、リタの名前を叫んでいた。


おかげで汗だく。



まだまだ序盤なのに、この盛り上がり。


やっぱり『オンナノコ*ソルジャー』って、リタって、いいな。好きだな。