かわいい戦争




「俺もタメ口がいいな~」



低身長の男の子――勇祐くんの頭に肘を置き、学ラン肩かけ男が割って入ってきた。



別世界を生き抜く危ない人たちに、タメ口をきくのがどれだけ勇気のいることか。


彼らはこれっぽっちもわかってない!

ほいほい頼んでいいことじゃないってわかって!!




「俺は、忍海 未來(おしみ みらい)。北校3年の18歳。あ、ちなみに俺が副総長で、勇祐は幹部なんだ~」


「お、忍海さんが副総長……勇祐くんが幹部……」


「忍海さんじゃなくて、未來って呼んでほしいな~」


「は、はあ……」


「よろしくね、海鈴ちゃん」




よろしくしたくない。

なんて、口が裂けても言えない。



学ラン肩かけ男――未來くんが副総長だとは正直驚いたけど、知った途端迫力が増して見える。


能ある鷹が爪を隠してるようで、考えれば考えるほど怖くなる。




「僕は、津上(つかみ) ひつじ。高校2年、幹部。よろしく、カイリー」


「か、カイリー?」


「あだ名。……やだった?」


「嫌じゃ、ないですけど……」


「ならよかった。僕も名前呼びと、タメ口でいいよ」




そういえば、璃汰のことを「りったん」、高身長の男の子のことを「リッキー」って呼んでたっけ。


璃汰も初対面からあだ名を付けられたのかな。


だとしたら、美人な男の子――ひつじくんも、他の男の子とも負けない独特な個性を持ってる。