美人な男の子と学ラン肩かけ男が何やら言い合ってる間に、お代を出前用の財布に仕舞う。
任務は果たせたことだし、そーっと退散すればバレないんじゃないかな。
抜き足差し足忍び足。
注意深く、慎重に、一歩後退する。
「おい、うっせーぞ!」
瞬間、左側の扉が豪快に開いた。
反射的に一歩前に戻る。
び……っくりしたぁ。
このハスキーボイスは、もしかしなくても。
「あ、利希」
「そこまでうるさくしてなくなーい?」
やはり、あの高身長の男の子。
「わーわー言ってりゃ、うっさいに決まってんだろ」
「んなうるさくもなかったぜ?」
続けて低身長の男の子も姿を現した。
「あ?お前の耳、おかしいんじゃねぇの?」
「お前がうるさく感じたのは、麻雀に集中してたのにホールから声がして、集中力を削がれたからだろ」
「な~んだ、八つ当たりか~」
「そそ。いつもの自己中な八つ当たり」
「八つ当たり、やめて」
「これのどこが八つ当たりだよ。せっかくいい感じだったとこを、うるせー声に邪魔されて、怒んねぇほうがおかしいだろ」
うげ。
言い合いが拡大した。
やっぱりさ、この隙にわたしが退散しても、誰も気づかないんじゃない?



