かわいい戦争



そもそも、どうして。



「どうしてわたしが出前をしてるってわかったんですか?」



悔しさを滲ませながら、疑念を訊いてみる。


昨日も一昨日も、わたしが璃汰とは別人であること以外は、何も気づいてなさそうだったのに。



「昨日、璃汰ちゃんが言ってたでしょ?『あなた、お店あるでしょ』って。それで思い出したんだよね~。時々ここにラーメンを届けに来てくれる女の子のことを」



そんな、たった一言で?


出前の人の顔まで普通いちいち覚えないし、周りには女の子がうじゃうじゃ寄ってきて1人1人記憶するのは難しいはずなのに、昨日の些細なことでわかっちゃうなんて。




「まあ、君の素顔を知らなければ、気づかないままだっただろうけどさ~」


「……記憶力、いいんですね」


「かわいい子のことは忘れないんだよねぇ」


「……か、かわいい?わたしが?」


「うん、もちろん。君もかわいいよ?」




わたしの素顔を知った上で、それ言う?

お世辞にしか聞こえない。


美麗な微笑みは、ひどく怪しくて。


嘘も本音も隠すどころか、元から無いようにさえ感じた。




「こんなところで口説かないで」


「え~、口説いてね〜よ。本当のこと言っただけ」


「言い訳、いらない」


「言い訳でもないんだけどなぁ」