いつもは、アイドル・リタがバイトしていると勘違いされないよう、メイクもマスクもしていない本当の姿で出前に行くのだが、今回は急ぎっぽかったから仕方なく仮面を貼り付けたままで。
お店に戻り、店名の入ったエプロンを纏う。
届け先のメモを受け取り、早速出前へ出発した。
「うーん、今回は距離があるなぁ」
ひとつは繁華街。
もうひとつは街はずれ。
だったら近いほうから片付けちゃおうかな。
「2件目の住所、見覚えあるんだけど……どこだっけな。常連さんかな」
出前のサービスを多く活用してくださってるお客さんなら、住所に覚えがあってもおかしくはない。
ただ街はずれにあるっていうのが気がかりだけど……まいっか。今は仕事に集中しよう!
1件目はすぐ到着した。
「まいど!素野真汰の店です!」
「あ!ありがとうございます~」
繁華街の奥にあるお店を営んでるご両親が、夕飯を作ってあげられない代わりにお子さんに食べさせようと注文してくださったらしい。
まだ湯気の立つラーメンと餃子と豚キムチを送り届け、次の依頼先へ向かう。
次は街はずれだ。
超特急で運ばなくちゃ!



