かわいい戦争





「ただいまー」



中は満員。


チャーハンを炒めるお父さんの「おかえり」に次いで、常連のお客さんからの「おかえり」も立て続けに返ってきた。




「帰ってきて早々に悪いんだが、出前に行ってきてくれないか?」


「出前?うん、いいよ。何件?」


「2件だ。よろしくな」


「わかった。急いで着替えてくるね!」




うちのラーメン屋では、出前をやっている。


お父さんがここを継ぐ前はお父さんの役目だったが、今は一番若くて元気のあるわたしの仕事。


といってもわたしは学生だし、お母さんは体が弱いので、出前に行ける時間帯は限られている。それでも出前を頼むお客さんは結構いる。




出前の仕事をした当初は、体力がなくてすぐバテちゃったっけ。


注文品を入れる岡持(オカモ)ちが、中身共々重たいんだよね。

女子にアレはきつい。


それに届け先が多いと、必ずしも住所が全て近いわけじゃないから、長距離の移動はすっごくしんどかった。



だけど今では、ダイエットを兼ねた運動で体力も筋力もついたし、何件でも余裕でこなせる。


わたし、成長したなぁ!




しみじみと自分の努力を自画自賛しつつ、一旦家に帰った。


お母さんに「ただいま」と告げ、ラフな私服に着替える。まだ外は肌寒いだろうから、くすんだ青緑色のスカジャンはそのまま。