かわいい戦争




なんだ……そっか。

文字通り心強い味方がいたんだ。


一気に緊迫感がほどけた。



「あいつらのほうがもっと遅い。バイク持ってるくせに。バカ」



璃汰はわたしの腕の中からチラリと神雷の人たちのほうを窺うと、安定の毒舌が小さく呟かれた。


彼らと目が合う前に、わたしは後ろを見るのをやめ、璃汰の守護を優先する。




「……ん?あのスカジャン……いきなり走り出したかと思えばこんなところにいやがったのか」



「そんなことより、今はあいつ」

「そ〜そ~。あの男をどうにかするのが先っしょ」



わたしに気づいた高身長の男の子に、高めな声と軽薄な声が立て続けに告げる。


美人な男の子と学ラン肩かけ男も駆けつけてくれたんだ。




「お、お前ら、昨日の……神雷の……っ」



男性の赤かった顔色が、みるみるうちに青白くなる。



「あ?なんだお前かよ、キモ男。俺がカメラもらってやったってのに。今度は何したんだよ」


「誘拐されそうになったの」


「……へぇー?」



わたしから少し身を離した璃汰は、ストーカーを視界に入れないように背を向けつつ、高身長の男の子を一瞥した。



もう大丈夫なの?

そう璃汰に聞くのは、愚問。



この子は、いつもこう。


わたし以外の前では、弱さを隠そうとする。



強がりなお姫さまだから。