かわいい戦争





「リタのファンだろうがなかろうが、璃汰が怖がってるなら無視できない」


「お前、何様だよ」


「……璃汰の前から消えて」



どうか気づかないで。

わたしも震えてること。



誰かを傷つけるのは嫌いだし、本当はしたくない。


だけど、璃汰を守るためなら、いいよ。



嫌いな言葉のひとつやふたつ、吐き散らせる。




「リタちゃんが俺を怖がるわけねぇだろ?リタちゃんはファンのことが大好きなんだ。怖がるとしたら、俺との時間を邪魔したお前のほうだろ!」



完全にイってる。


ダメだ。

わたしには、これ以上……。



怒り狂った男性は、真っ赤な形相で迫り来る。


逃げようとしても、恐怖に打ち震える璃汰を連れて逃げるには限界がある。



どうしよう……!!

思考回路をフル回転させながらも、身体は璃汰を守ることに必死で、抱きしめる力加減を忘れていた。



地面に落ちたわたしのカバンを踏んづけて詰め寄ってくる男性が、腕を振り上げた。



「お前みたいなブスが、リタちゃんに触ってんじゃねぇよ!!」



雨音をはね返す、罵声。


それから。




――ブオンブオンッ!


けたたましいエンジン音。