かわいい戦争



だけどこんなわたしに『たすけて』と乞うのなら。


助けが必要な事態に臆しているのなら。



無力なわたしは、それでも
迷いなく助けに行ってしまうから。




だから、璃汰。


ちょっと……もうちょっとだけ、待ってて。





塀をジャンプし、見事華麗に着地!

と格好よく、とはいかず転びそうになったけれど、それすら瞬発力のダシにして。


急な坂道を颯爽と駆け下りていった。



汗が尋常なく流れる。


暑い。

熱い。


冷たい雨粒が肌を濡らしても、一向に熱は引かない。


汗と雨のダブルパンチで、メイクが落ちて、顔はきっと醜く黒ずんでいることだろう。



「はぁ、はぁ……ああっ、もう!」



とっくに顔が悲惨なことになってるなら、もういいや。



もう、いいよ。



わたしの、大事な仮面。

だけど、今は枷だ。


つけていても、意味がない。



息苦しさに負けて、マスクを外した。


途端、呼吸がずっと楽になる。


白いマスクの内側には、雨に混じった肌色のベースが付着していた。



メイクがどうだとか、気にしてる暇があるなら走りたい。


走れ。
あの子の元へ。