かわいい戦争





「……あっ!そういえば!」



璃汰に昨日神雷に会ったことを話し忘れてた。


不可抗力とはいえ、ストーカー被害とか神雷との関わりを把握してしまったから、一言伝えようと思ってたのに。



「まいっか。次に会ったときにしよう」



どうせ金輪際、私用で神雷と接する機会なんてないだろうし。


いつ言っても変わらないだろう。





――と、楽観的に考えてました。

今朝までは。





「ねぇ、見た!?」



放課後の掃除の時間。

同じ班の女の子が、今日も掃除そっちのけで興奮気味に口を開いた。




「主語を言いなさい、主語を」


「あの人たちよ!」


「誰」


「ほらっ、神雷の!」




じ、神雷!?


ドキーッ!!と心臓が飛び跳ねた。



そうだ、そうだった。

昨日出くわした神雷の人たちの数人、うちの学校だった。




「あたし初めて校内で目撃しちゃった!」


「神雷メンバーって、結構北校にいるよね」


「えっ、そうなの!?」


「そうだよ、海鈴ちゃん知らなかったの?」


「下っ端だけじゃなくて、総長と副総長と幹部もいるの。すごくない?その中でも幹部以上はイケメンしかいないし!拝めるだけで幸せよ……」




し、知らなかった……。

神雷メンバーも、神雷に憧れてる生徒も多いんだ。


今までそういうことに興味なかったから、情報を流してたのかもしれない。