かわいい戦争





「で、何を言いたかったの、あたしに」


「え、えっと……」



じろり、と鋭い眼光に射抜かれて、思わず口ごもってしまう。


痩せた?
って正直に聞くのは、璃汰に失礼だよね。

痩せたのは、きっと、璃汰の努力の証だ。


頑張りすぎてたら心配だけど。



「ま、マスク!」


「マスク?」


「そう!今日してないんだなぁって。ファンの子に囲まれたりしないの?」



嘘じゃないよ。

これも聞きたかったし。


璃汰の眼光は鋭いままだったが、仕方なさそうに騙されてくれた。



「だって今日学校じゃない。どうせ学校バレてるのに、どうしていちいち顔を隠さないといけないのよ。そんな面倒くさいことするくらいならいっそ、皆に見せびらかして自らあたしの存在を知らしめてやるわ」



うわお、予想の斜め上の答え。

相変わらずストイックな考え方するなぁ。


かわいいのに、かっこいい。



わたしと璃汰は、通ってる高校が違う。


わたしは公立の北高校だけど、璃汰は私立の桜彩(オウサイ)学園に在籍してる。



桜彩学園の女の子の制服は、胸元にリボンのタイをあしらうのが特徴。

地味目な北校の制服より断然凝っていてかわいい。



ブレザーの胸ポケットには「須夜崎(すやざき) 璃汰」と彫られた、長方形型の校章入りネームプレートが留められている。