《繰り返し放送いたします。イベント開始時間を変更し、5分後に開始いたします》




控室をあとにしてステージ前に戻ってきた。



人の数が増えてる。


前方なんか特にお客さんがぎゅうぎゅう詰めだ。



アナウンスを聞いて、ちらほらとピンクの光がきらめき出す。


ひとつひとつじゃちっぽけな光も、あっという間に大きな輝きになる。



リタの色で埋め尽くされる。



ステージの奥に流れていた映像が切り替わった。



『リタ、デビュー記念イベント』



撮りおろしのリタの写真。

上のほうにわかりやすく記された文字。


デビュー曲のイントロが奏で始めた途端、お客さんのボルテージが急上昇する。



「皆ー!!」


「うわああああ!!」

「うおおおおお!!」



満を持してリタがスカートをひるがえして登場した。


四方八方から歓声が沸きあがる。



「今日はあたし・リタのデビューイベントに来てくれてありがとう!最後まで楽しんでいってね!」



わたしたちのいるところはステージからかなり遠いけれど、璃汰の勇姿はよく見えるよ。


今日も、あの子の世界は、“かわいい”であふれてる。



「それでは早速聴いてください」



イベントの始めはトークショーじゃないんだ。


初っ端からライブで盛り上げていく。

それは強気な戦闘スタイルのようにも感じた。



あぁ、ほら。


璃汰自身も強くきらめいてる。




「デビュー曲、『かわいい戦争』」