本当に綺麗ごとだって思ってる?
ああやって自己暗示をするのは、引くに引けなくなったからなんじゃないの?
どうしても今まで応援してきた“服部まろん”の面影を求めてしまうのはいけないことなのかな。
カッターが数センチ璃汰に迫る。
璃汰は悲鳴を上げたり抵抗したりしなかった。
ただただまろんちゃんの震えた指先を見つめていた。
「あたしは間違ってない!!」
「そこまでゆーんならさ、」
天兒さんがわたしを横切り、まろんちゃんのほうへ詰め寄っていく。
えっ、ちょ、天兒さん!?
カッターが璃汰に近づいたばかりですよ!?璃汰が危険なんですよ!?
「こ、来ないで!と、止まらないと……」
「止まんねぇとどーなんだ?」
足音はゆったりとした一定のリズムを刻んでいたはずなのに、長い足は一瞬でまろんちゃんの正面まで接近していた。
息を呑むまろんちゃんをじっくり凝視すると、ジャラつくピアスをぎらつかせながらせせら笑った。
あ、あの不穏な笑顔……絶対面白がってる。
「おら!」
「っ!」
「こいつ殺る前に俺を切り裂いてみろよ!なあ!?」
カッターを持つ手を強引に自分に寄せた。
刃先を顔に沿わせる。



