「はあ?本気で言ってる?あんなブスがあたしよりかわいい?そんなわけないでしょ」
まろんちゃんの言う通りだよ。
わたしはかわいくない。
“かわいい”を作ってるだけ。
素のわたしはまだまだ本物の“かわいい”にはほど遠いよ。
「“かわいい”は正義だって言葉、知らないの?あたしはとびっきりかわいいし、皆に愛されてる!あたしこそが正しいの!!」
自信満々な態度とは裏腹に、夜の海のような瞳にまで震えが伝染していた。
「ハッ、イカれたガキだな」
後ろからハスキーボイスが放たれた。
顔だけ振り返ってみれば、いつの間にか皆がすぐそばにいた。
「……誰だって、かわいくなれる」
「愛し、愛される資格も、誰にでもある」
「容姿で全てを判断すんな!」
「気づいてねぇの?そーやってやっかんでるお前、ここにいる誰よりブスだぜ?」
諭すように、煽るように。
責めて、攻めて追い詰める、4つの視線。
小さな女の子相手でも情けのない神雷の気迫を払い落とすみたいに、まろんちゃんは頭を大きく左右に振った。
「っさいうるさいうるさいっ……!!」
頭を振りすぎて、ツインテールが乱れる。
不良の残骸に埋もれたこの倉庫では、まろんちゃんのはちみつ色も璃汰の若干色落ちしてきたホワイトピンクの色も映えない。
「イカれてるのはどっちよ!不良が綺麗ごとを押しつけないで!あたしはかわいいの!正しいの!!」



