「なんでこんなときまでいい人ぶるんですか……っ」
あの震えは、恐怖?
それとも璃汰への怒り?
どちらにも取れるけど、もっと複雑な気持ちのような気もした。
「まだ仲間ぶってるんですか?」
無自覚か故意か、まろんちゃんが縄を締め付ける。
悶える璃汰に、反射的に走っていた。
「璃汰!」
「っ来ないで!!」
すぐさま止まった。
突然の大声にビビったからじゃない。
まろんちゃんがポケットからカッターを取り出したから。
「そ、それ以上近づいたら、リタ先輩の顔を切り裂きます!」
璃汰に鋭利な刃の先を向ける。
今まで一切傷つけられなかった
あの綺麗な顔を
……切り裂く?
「……できないよ」
「は……?」
「まろんちゃんには、できない」
だって、ほら。
足だけじゃなく手も声も震えてるんだよ。
力ませるほどその震えは大きくなる。
「で、できるよ!あんたみたいなブスにあたしの何がわかるの!?」
わかるよ。
何年ファンやってると思ってるの。
何年「オンナノコ*ソルジャー」を見守ってきたと思ってるの。



