かわいい戦争



途端、ずっこけた。


正確に言えば、誰かに転ばされた。



「なっ、何しやが……」


「仕返しだよ。身に覚え、あるよねぇ?」



犯人は、未來くん。


唇はゆるんでるけど、眼力がすごい。

殺気もだだ洩れてる。



わたしが記者に足を引っかけられたところ、未來くんに見られてたんだ。



「僕も、仕返ししとく」



えいっ。

と、記者の横腹をキックした。


かけ声のかわいさと威力が合ってない。


記者は横腹を抑え、起き上がれなくなった。




「勇祐、離せ」


「利希が離せ!」



……あの2人はいつまでやってるんだろう。



「俺のもんに触んな」


「利希のものじゃねぇから。そっから間違ってっから」



やや天兒さん寄りのカメラを、力いっぱい勇祐くんのほうに引き寄せてる。


2人の握力が強すぎて、カメラがメキメキ軋みだす。



「やべ」



カメラが壊れることを危惧した勇祐くんは、本体ではなくショルダーストラップを持った。


綱引きをするように引っ張ったら。



「うわっ」

「あ」



カメラが、また、すっ飛んだ。


宙を舞う、2回目。