かわいい戦争



「……ガキどもが」



胸を撫でおろすわたしのほうへ、記者が襲撃してきた。


まただ。

濁りきった、嫌な目。


害意の中で渦巻く怨恨に、痛々しく責め立てられる。



「調子乗ってんじゃねぇぞ!!」



記者の怒り狂った叫びに、先ほどの喉の痛みがよみがえる。


カメラに向けられた手首は青く腫れていた。



ここでカメラを取られたら、せっかくデータを消したのに再び写真を撮られる。


わたしたちを警戒するだろうし、もう一度盗むのは難しい。


でもカメラをずっとわたしが持っていたら、いつかは奪われてしまうだろう。



どう行動するのが正解なの?



「海鈴ちゃん、カメラ貸して?」


「え?」



悩むわたしに未來くんが耳打ちしてきた。


おずおずとカメラを渡せば、未來くんは目尻を細めた。



「欲しいなら返すよ」



記者の手が届くぎりぎりのタイミング。


天高くカメラを放り投げた。



……えっ、投げた!?



「取れるもんならね~」



あれ一眼レフカメラだよね?高価なものなんじゃないの?弁償しろって言われたらどうすればいいの!?


なんてネガティブ思考フル回転のわたしとは対照的に、未來くんとひつじくんはどこか楽しそうでどこまでも大胆不敵だ。



放物線を描いて、カメラが宙を舞う。



「あーひゃっひゃっひゃっ」



カメラをキャッチしたのは、天兒さんだった。


こん棒片手に、ボロボロになった敵の山の上でふんぞり返ってる。