スマホを壊しちゃうのかと思った。
わたしでさえびっくりしたんだから、記者は心臓が止まったんじゃないかな。
「データ、初期化しといた」
「おっ、ナイス~。ついでに画面割っちまおーぜー」
「そだね」
また「なんちゃって」で終わ――バキッ!
え。
容赦なく割っちゃった!?
「い~感じに割れたねぇ」
「もしかしたら、中身も壊れたかも」
「まあそん時はそん時っしょ」
「だね。どうせ、こいつのだし」
「そそ~」
「てか、いつの間に、カイリーが彼女になったの?」
「ついさっき?」
「……TPOって、知ってる?」
だよね。
璃汰がピンチのときに告白してる場合じゃないよね。
……じゃなくて!!
いけない、いけない。他愛ない雰囲気に流されそうだった。
データを初期化された上に画面も割られたスマホを「はい、これ」と素っ気なく返された記者は、もはや文句のひとつも出てこない。
仲間を呼ぶな、と脅迫せずともその気力すら既に折られてる。
「そういえば、カイリー、データ消せた?」
「あ、まだ!」
そうだ。あとは決定ボタンを押すだけのところで阻まれたんだった。
慌てて操作をしたら、ちゃんとデータを消去できた。
これでよし!



