かわいい戦争




「返せっつってんだろ!?」



いくら脅されても、腕をほどくもんか!


徐々に鬱憤が形相にも表れ、胸倉を握っていた片手が喉を絞めた。



「ブスが!出しゃばってんじゃねぇよ!!」


「ぅ……、や、め……」



息が……。


それでも頑なにカメラを抱え続ける。


あきらめの悪さが余計に記者を逆撫でしてるのか、より強く喉を圧迫させる。



「チッ。こうなったら誰か呼ぶか」



空いてるほうの手でスマホを取り出した。


まずい。

同業者や他のマスコミ関係者が来たら、リタの悪いニュースを食い止められなくなっちゃう。


だけど腕を動かしたらカメラを奪い返される。


そうこうしてる間に記者は電話をかけようとしてる。



声も出せないし、一体どうしたら……。



「俺のかわいい彼女に何してくれちゃってんの~?」


「痛っ……!」



記者の手首を折る勢いで力強く掴んで放してくれた、無骨な手。


後ろから伸びたその手が、記者の手首を乱暴に離すと、優しくわたしの肩を抱いた。



振り向かなくてもわかるよ。

この温もりは、未來くんのだ。



「はい、スマホ没収」



記者の背後にはひつじくんが忍び寄っていた。


取り上げたスマホは、まだ電話をかけていなかったようだ。



「もうソレ壊しちゃえば~?」


「だね」


「おい待て……!!」



ひつじくんはスマホを持つ腕を高く振り上げた。


そして素早く振り下ろし、スマホを地面に叩き落としかけて、



「なんちゃって」



ストップ。

腕ではなく指を動かし、スマホを軽くいじった。