違う。
違うよ。
璃汰を置いて逃げたりしない。
大人って怖い。
子どもって弱い。
だけど逃げても変わらない。
だったらわたしも皆みたいに戦うよ。
不良たちが喧嘩してる中央に差しかかる寸前のところで立ち止まり、方向転換した。
このチャンスを逃さない。
皆の足を引っ張りたくない。
璃汰を守りたい!
思い切り地面を蹴った。
いいスタートダッシュを切れた。
どんどん加速していく。
倉庫での写真が出回ったら、今度こそリタのデビューがなくなってしまうかもしれない。
これ以上リタを冒涜する写真を見過ごしておけない。
わたしじゃ力尽くで奪えない。
わたしにできること。
長所は、足の速さと運動神経の良さ。
脳裏を過ったのは、月曜日の1時間目の授業。
体育でやった器械運動。
昨日は飛び箱だった。
記者の身長は、推定175センチ以下。
ロイター板がない代わりに、ちょうど記者の付近にあるダンボール箱の山を踏み台にしてジャンプすれば、なんとか跳べる……はず。
ううん、跳ぶんだ!!
上からなら、カメラに付いてるショルダーストラップに引っかかることなく奪える。



