かわいい戦争



唐突な光に対処が遅れてしまい、先を塞ぐ足に気づかなかった。



「うぎゃっ!?」



まんまと右足を引っかけられた。


バランスを崩し、前方から倒れる。



「いたたた……」



膝がヒリヒリする。


誰の足に引っかかったのか、考えなくてもわかる。



――カシャッ。



立て続けに響くシャッター音。


ライトが透過されないうちに、視線でたどっていく。



「チッ」



記者の……大人の舌打ちは、天兒さんとはまた違う迫力がある。


敵側は戦々恐々としてると思ってた。

だけどこの男は、愕然としながらも仕事を全うしてる。


たとえ味方が傷ついても、残忍な場面をフィルムに焼いてる。



不意に記者がこちらを一瞥した。


ぞわっとする。


なんか、嫌だ。

あの、欲に塗れた、汚れた目つき。



「小娘はすっこんでろ」



大人って、怖い。



何を言われても、なぜか逆らってはいけない気がしてくる。


子どもの本能が警告してる。



大人の言葉にはきっと、得体の知れない呪いのようなものがかかってるんだ。



震える足で立ち上がり、来た道を戻っていく。


じんじん痛む膝を気にしながら走った。



「ハッ、逃げたか」



背中に冷笑が刺さる。