鈍い音は止まらない。
鬼の笑い声が耳から離れない。
見るに堪えず目を逸らした。
「……あ」
逸らした先に、まろんちゃんがよく見えた。
ここからでも顔面蒼白なのがわかる。
まろんちゃんはまだ中学1年生。
目の前の残酷な光景は刺激がありすぎる。
……ていうか、なんでこんなに向かい側が見えやすいんだろう。
咄嗟に周囲を見渡して、納得した。
敵サイドのほとんどが天兒さんの残虐な行為に釘付けになってるんだ。
闘争心をくじかれてる人、戦って敗れた人もちらほらいる。
一点への注目と、事実上の敗北者たち。
それらのおかげでわたしたちと璃汰たちの間に隔たっていた不良たちがまばらになり、壁がなくなったことで対極の位置も展望しやすくなったんだ。
今なら全員隙だらけ。
璃汰を救出しに行ける!
今しかない!!
衝動的に未來くんの背後を飛び出した。
油断してる敵の影を縫いながら駆けていく。
タッ、とコンクリート上を跳ねた
瞬間
視界のフレームの右端に
璃汰とまろんちゃん
左端に
――カシャッ
閃光が留まった。



