どうしても苛立ちが湧いて、沸いて、咎めずにはいられない。


イラつくし、悲しいよ。

まろんちゃんのこと、好きだったから。



口を開いたのは、男性のほうだった。



「リタを人質に取ったら、お前らは必ず助けに来るだろ?現に来やがった!これでリタと神雷の関係は決定的なものになった。あとはこいつらと暴れりゃ、特ダネの完成だ!」



特ダネ?

そのカメラといい、彼は記者?


今の発言を鑑みると、十中八九この記者がリタの記事を提供したんだ。


彼ならキャバクラの件があんなにも早く広まったのも不思議じゃない。



話題の欲しさに、事実を誇張して、曲げて。

リタを甚振って、陥れたの?


それが彼の正義だとしても、ひたむきな“璃汰”を傷つけていい理由にはならない!



「こいつらって……ああ、あんたの後ろにいる奴らか。存在感なさすぎて気づかなかった」


「暴れてる最中にあのカメラも壊すか」



倉庫の陰に、大勢の不良が潜んでいた。


車に乗っていたのは誰だろう。

璃汰を痛めつけたこと絶対に許さない。


約30人もの不良と対峙しても、天兒さんと勇祐くんは自分のペースを決して乱さない。




「余裕でいられるのも今のうちだ。いくら強かろうと、人数には敵うまい」


「なんで」


「多勢に無勢という言葉を知らないのか?」


「いや知ってっけど、なんで敵わねぇって決めつけてんの?もしかして俺らにもそんなもんが通用すると思ってんのか?」




どちらが敵か判断つかなくなるほど、天兒さんの嘲笑は倉庫の物々しさと相まって不気味だ。


記者が尻込みしてる。