かわいい戦争



とりあえず路地を抜けよう!

策を練るのはあとだ!


人1人通れるか通れないかくらいの家と家の隙間に踏み込む。


直後



「んん!?」


――グイッ!



どこからか伸びてきた手で口を塞がれ、そのまま後方に引き寄せられた。



パタン、と閉められた木製の小さな扉。


その奥からパタパタと足音が聞こえる。



「どこにもいねぇ!」

「路地を抜けたか」

「あっちのほう探してみよう!」



木の生い茂った垣を隔てて、マスコミの人たちが遠ざかっていくのがわかる。


よ、よかった……。

って、待て、わたし。


一難去ってまた一難とはまさにこのこと。



わたしをここに引き入れたのは誰!?


口元を覆う手や、背中越しに感じる圧から男性であることは推測できるけど……。



ここは……庭、だよね。


昔ながらの静かな一軒家。

じゃあこの家の人が?


あるいはマスコミの人がここに潜伏してて……?



「あいつら、いなくなったみたいだね」



あ。

この、声。


青ざめていた心が、落ち着いていく。



「海鈴ちゃん大丈夫?」



マスクから手が放れ、振り向けば。


髪の毛を雨で湿らせた未來くんがいた。



「どうしてここに……?」


「やっぱり海鈴ちゃんを1人にさせられなくて、あいつらに無理言ってこっち来ちゃった」