かわいい戦争



塀を上ったり路地を利用したりしてなんとか逃げてるけど、このままじゃどっちかの体力が尽きるまで鬼ごっこが続く。


この住宅街をぐるぐる駆け回ってばかりいては、マスコミもあきらめてはくれないだろう。



「はぁ、はぁ……っ、どうしたらいいんだろう……」



住宅街をあと何周すればいいの!?


体力で負ける気はない。

だけど人数や勢いで負けるかもしれない。



雨と汗でメイクはボロボロ。


正面に回り込まれ近づかれたら、一発で囮だってバレてしまう。



マスコミ全員と距離を離しながら逃げ切る必要がある。


難しいな。

わたしの頭がもっとよければパッと名案が浮かんだのかな。



とりあえず路地裏に忍んで、策を練ろう。



「こっちだ!」

「路地に逃げたのか……!」



路地の奥から太い声が反響した。


え!?
なんで気づかれたの!?


……あっ、雨のせい!?


スニーカーの跡が地面に残ってたんだ。


しまった。失念してた。

どうりでマスコミを撒けないはずだ。



「ど、ど、どうしよう!」



数人がこちらに詰め寄ってくる気配を感じる。


路地裏に隠れていても、見つかるのは時間の問題だ。