ジロジロ、ジロジロ。
高身長の男の子と低身長の男の子が、至近距離でわたしを凝視してくる。主に顔を。
イケメンにこんな近くで観察される日が来ようとは。
緊張で汗がぶわっと吹き出る。
頼むからそんなに見ないでほしい。
心臓がいくつあっても足りやしない。
「うーん、やっぱり璃汰にしか見えないんだけど?」
「まあ確かにいつもより厚化粧みてーだが」
「女の子に厚化粧って最低なんだけど。他にも違う点あるでしょ。髪色とか、服装とか」
ありがとう、学ラン肩かけ男。
わたしの代わりに言い返してくれて。
「……メイク、」
え?
不意に階段のほうから、小さな呟きが反響した。
今日聞いたなかでも、高めの無気力な声。
顔を向けてみれば、そこには階段の一番下の段に座ってる、男の子が1人。
ふんわりした猫っ毛の金髪。
斜めに切りそろえられたアシンメトリーの前髪には、等間隔にシルバーのヘアピンが3つ並べられていて、おしゃれだ。
他の3人の男の子がイケメンならば
彼には、美人という言葉があてはまる。
「メイクでりったんに寄せてる、よね?」
「り、りったん……?」
って、誰?
「璃汰ちゃんのこと」
「あ、ああ、は、はいそうです。よくわかりましたね」
わたしと美人な男の子とじゃそれなりに距離があるのに。
視力がいいのか、メイクに詳しいのか。
はたまた観察眼が鋭いのか。