かわいい戦争





「……え?璃汰、ちゃん?」



カタカナではなく、漢字。

そんな気がしたのは単なる直感だが、なんとなく当たってる気しかしなかった。



この人たちは、わたしのお姫さまの――璃汰の知り合いなのか。



真っ白になりかけていた脳内で、きちんとインプットできたのは、わたし以上にあっちが当惑していたからだろう。



「え?え?いやちょっと待って」


「は?なんだよ急に。ついに頭イカれたか」


「正常だけど!なんならお前らより正常だけど!?」



ゆらゆら泳ぐ、金色の瞳。

そこにははっきりとわたしのマスク姿が描かれてる。



口調だけでなく、その瞳も柔らかく感じた。




「君……璃汰ちゃんじゃ、ない、よね?」




あぁ、ようやくか。

ようやく気付いてもらえた。


ここまで長かったなぁ。



「は」


「えええっ!?」

「なに言ってんだ」



はい。その2文字さえ言わせてもらえなかった。


最後の最後までこちらの言い分を全く聞いてくれない。



「どっからどう見ても璃汰じゃん!」


「目ぇ腐ったのか。残念だったな。水道で眼球洗ってこいよ」


「んなわけないっしょ。目ぇ洗うべきなのはむしろそっちじゃね〜?」