かわいい戦争



キョトンとするわたしに、勇祐くんが恥ずかしげに口をもごもごと開閉させる。



「あー……だ、だからな?い、一応助けるつもりで駆け寄ったんだよ。だけど俺が助ける前に、璃汰が『そんなにかわいいって言うなら、こうやって無理やり振り向かそうとしないで、真正面からあたしに魅せられてよ』ってウインクして、ナンパしてた奴らをトリコにさせちまったんだよ!」


「そのあとに1曲歌って踊って、ナンパしてた奴らだけじゃなく野次馬にもしっかり自分を売り込みやがったんだ」



ククッ、と天兒さんの喉が転がる。


興奮気味にゆるんだ表情が、いやに薄気味悪い。



「あんなおもしれー奴、みすみす逃せるわけねーだろ」



あぁ、そうか。

天兒さんの興味に、璃汰も引っかかっちゃったのね。


どうりで2人が会うとバチバチしてるわけだ。



でも、天兒さんが璃汰を連れていってよかったのかもしれない。



偶然の邂逅から親しい関係になれるのは、奇跡に近い。


その出会いには意味があった。



なんて、都合のいい解釈だけど、そう考えると幸せだな。


ねぇ、璃汰。
璃汰もそう思わない?




「幸珀さん!剛さん!こいつのこの、気に入ったら何が何でも手に入れなきゃ気が済まない自己中さ、自分が良ければいいという身勝手さ、どう思います!?」


「こいつも相当やべぇな」


「『も』ってやめてよ」


「安心しろ、お前もやべぇ」


「やめてってば!そのどこに安心しろっての!?利希は親にでっろでろに甘やかされて育ったから、そんな駄々っ子のエキスパートみたいになっちゃったんだよ。責めるべきなのは、子煩悩すぎな親!ギルティ―!」