それじゃあ俺らも行こうか、と腕を引かれる。
「あっ、だ、だからわたしは……!」
違うんです!
あなたたちの知り合いじゃないんですー!
伝えたかった声は空を切って、あっけなく一歩、洋館内に侵入していた。
視界に映ったのは、だだっ広いホール。
歩くとキュッと鳴る、光沢のある床は、わたしの姿を反射している。
それは床が艶やかに磨かれているだけでなく、天井の巨大なシャンデリアが照らしているせいもあるだろう。
「……す、すごい」
どこかのお嬢さまが暮らしてそうな、お城みたいなところだなぁ。
まさにあの子にぴったりだ。
高級でしかない内装に呆気に取られるわたしに、低身長の男の子が「あ、そうか」と微笑む。
「ここに来るのって、まだ数えられるくらいだっけ。そりゃそんな驚くのも無理ないか。そうすぐ慣れねぇよな」
わたし自身、ここを訪れることは時折あったけれど、中に入ったのは初めてだ。
「いらっしゃい、神雷のたまり場へ」
わたしの手首から離れた、背の高さにしては大きな手が、ホール全体を示すように広げられる。
たった今やって来たわたしと男の子2人の他に、もう2人、ホールの奥の階段に腰かけていた。
知ってる。
知ってたよ。
ここが、不良の集う場所だって。



