かわいい戦争




こうなったらわたし自身がなんとかしなきゃ。

わたしと誰かを間違えてることは明白だし。



その誰かは、なんとなく予想ついているんだけど。




「ちょ、あの、わ、わたし……!」



「てか今日のお前、いつもとちげーのな。最初わかんなかったわ」

「あー、服装が、だろ?俺も思った。いつも“the女の子”みたいなフリルとかリボンとかついた服を着てるとこしか見たことなかったし」



「い、いや、だから……!」



「あのメルヘンなやつな。気色わりーよな。似合ってなかったら、ひらひらしてるとこ全部はぎ取ってるところだ」

「本人の前で気色悪いとか言うなよ。口悪ぃな。いいじゃねぇか、着たい服着りゃ」



「あ、あのー、わたしの話を……」



「俺は俺の好みに忠実でいるだけだ。そのスカジャンとかイカしてんじゃん。背中の白鳥は謎だけど」

「それはわかる。それまじでかっけー。趣味変わったのか?あ、それとももらい物か?よく撮影で着たやつとかファンからのプレゼントで、もらったり買ったりしてるもんな」



「えっと……だからわたしはですね……?」



「俺も新しい服欲しーな。このカメラ売ったらいくらくらいすんだろ。最新のだし、結構高くつくよな」

「さっきまであんなに欲しがってたのに、もう売ること考えてんのかよ。奪ったんならせめて使ってやれよ」





……まったく聞く耳を持ってくれない。


わたしの存在は無視ですか、そうですか。