かわいい戦争




「確かめる必要なんかないわ。海鈴にはわからないでしょうけど、海鈴の家のような幸せな家族ばかりではないのよ」


「わたしだってわかってる!」



昼休みに未來くんにも言われた。



『世の中にはいろんな家族の在り方がある。子どもを愛してない親もいるし、親を愛してない子どももいる。それを外野がどうにかしようなんて不可能だよ』



愛して愛される家族は、当たり前じゃない。

ものすごく恵まれた幸福なんだって、わかってるよ。



「……わかってるから、こうやって確かめに来たんじゃんか。璃汰とリンカさんの家族の在り方を」


「家族の在り方なんてないわよ。あたしとあいつは家族じゃない。あいつはあたしを見捨てたんだから」




「違うっ!!」



迫力の割に声量のない、叫び。


初めてリンカさんが“母親”の顔になった。



「大事な娘を見捨てるわけないじゃない」


「……大事な娘?やめてよ。今更あからさまな嘘つかないで。不愉快よ」


「嘘じゃないわ。本当よ。本当に、そう思ってる」



必死に訴えかけても、璃汰はリンカさんのほうを向こうとはしなかった。


ついにはわたしの手首を離して、1人で去ろうとする。



しかし、



「……っ、離して」



わたしは璃汰の手を離さなかった。