「皆さま!」
祝福モードの中、リンカさんは拍手をしながら立ち上がった。
「皆さまに大変心苦しい思いをさせてしまったお詫びと、わたしを……いえ、この店を守ってくださった彼らに感謝の気持ちとして、各テーブルに店で一番のお酒をサービスさせていただきます!皆さま、どうか先ほどまでのことを忘れて、酔いつぶれるまで飲んでくださいませ!」
お酒で汚れたドレスをひるがえし、軽やかに一礼する。
店内はさらに盛り上がる。
リンカさんだって怖がっていただろうに、笑顔を崩さずにお客さん第一に動いてる。
どんなときでもプロの自覚を忘れない。
そういうところ
すごく璃汰に似てる。
やっぱり親子だ。
「よっしゃ!俺らも飲むぞ」
「飲むぞ、じゃない」
「……あ?」
蝶ネクタイを取ってテーブルに座ろうとした天兒さんの服の裾を、こっちに来たひつじくんが引っ張って止めた。
まるで不審者を発見したみたいな視線を送ってる。
「なんで、皆も、ここにいるの?」
そうそれ!
わたしも気になってたの!
「やっぱ心配でさ~」
「海鈴に何かあったら嫌だしよ」
「僕、信用ない?」
「そーじゃなくて。どっちもキャバ嬢役だから、いざってとき動けないだろ~?」
「そうそう!ドレスで喧嘩なんかできっこねぇし」
「ドレスで喧嘩か……。ちょっとやってみろよ」
「無茶言わないで、リッキー。そういうリッキーは、なんでここに?」
「あ?おもしれーとこを生で見なくてどうすんだよ」
天兒さんだけ私情全開で笑いそうになっちゃった。
ギリギリ笑わなかったけど。
……天兒さんの前で笑ったらどうなるかわからないし。



