「周りの人はモブじゃねぇし、感謝の声は利希にじゃなく海鈴と未來にだと思うぜ?自惚れんな、自意識過剰ヤロー」
「なんで俺に感謝しねーんだよ。普通すんだろ。つーかお前らもしろ。頭がたけーよ」
「突っ立ってただけの利希に感謝することなんかねぇよ」
「そーそー。感謝するなら海鈴ちゃんにでしょ。今回の潜入で一番頑張ってたもんね~?」
「え、えっ!?わ、わたし!?」
いきなりわたしに話を振らないで!
面食らうわたしの頭を、未來くんがポンポンと撫でた。
「!!!」
お酒でちょっと湿った、骨ばった手。
好きな人の、手のひら。
さっき自覚したばっかりなのに、こういうの……ずるい。
今すぐやめてほしい。
ドキドキしすぎて心臓が耐えれない。
いつものマスクがあれば赤面も隠せたのに!
「そうだな!今回のMVPは海鈴だな!」
「あの客にも物怖じせずに立ち向かってたしな~」
「で、でもでも!そのせいで未來くんにケガを……!」
「あー、未來が酒かぶったときのあいつらの顔、サイコーだったな。キモいくらいやべー顔してた」
「どういう顔だよ」
うるさいくらいのお喋りと拍手に紛れて
――カシャッ
遠くからうっすらと
シャッター音が響いた気がした。
「あとは不良絡みの事件を起こしちまえば、最高のスクープになる」
不穏な魔の手が背後まで迫ってきていることを、わたしは知る由もない。



