かわいい戦争





「お前、相変わらず性格ねじれてんな。説教するとこ、そこじゃねぇだろ」


「あ?いいじゃねーか。こいつがどこで何しようと、俺には関係ねーんだから」


「じゃあこいつがお前のストーカーしてて、いたるところで盗撮してたらどうすんだよ」


「カメラごとぶっ殺すけど?なに当たり前のこと聞いてんだよ」


「それを違う誰かに置き換えて考えることはできねぇのかよ……。自分勝手な脳してんのな」


「そりゃどーも」


「褒めてねぇよ」




何だろう、この茶番。

わたし、帰っていいかな?



「そんじゃ、このカメラ預かっとくから。もう二度とすんじゃねーぞ。俺に面倒なことさせんな」


「結局カメラもらってくのかよ。……まあいいや。そういうことだから。自分の身、大事にしろよ。次やったら、たぶんこいつ本気でやばいだろうから」



あ、また、ピリッと。

最後に2人が放った殺気が、わたしと男性の背筋を凍らせた。



なんて迫力。


眼力だけで殺られてしまいそう。




「きゃーっ!」

「見てみて、あそこ!」

「やばっ!初めて生で見た!」

「かっこよすぎ!!」



突然の黄色い歓声に、ハッと我に返った。


あ、あの声、もしかしなくてもこの2人に向けられてる……?