天兒さんと勇祐くんの口論が激しくなっていく。
また「すごい」と言いかけて口を閉じた。
今日はもう気軽に「すごい」って言えない。
「とりまここから好きなの選びなよ。気になったやつあったら、奥にある試着室使っていいからさ~」
「あ、ありがとう!」
「どーいたしましてー。俺らはホールにいるから、選び終わったらおいで。キャバクラまで送ってあげる」
衣装を貸してくれるだけでもありがたいのに、送迎まで!?
至れり尽くせりで申し訳ないなぁ。
もう一度お礼を告げると、気にしないでと言わんばかりに優しく微笑まれた。
じっくり選ばせてくれるためか、未來くんたちが退出する。
最後に出て行こうとした勇祐くんを、慌てて引き留めた。
「あっ、ねぇ勇祐くん!」
「ん?」
「璃汰、学校に来てた?」
「ああ、来てたけど?」
「様子とか雰囲気とか、変わりなかった?」
「うん、特には。なんで?」
「あ、い、いや……ら、ライブで疲れてないか心配で。変わりないなら、よかった」
よかったとは思う、けど。
心から安堵できない。
きっと璃汰は、強がってる。
得意のアイドルスマイルで、平気なフリをしてる。
どうしてもそんな気がして、不安になる。



