『あんな奴、家族なんかじゃない』
『あいつが一番最初にあたしを不幸にしたのよ』
――お母さん。
そう呼べることすら、きっと、幸せで。
当たり前ではなかった。
璃汰には無いのだろうか。
お母さんとピクニックしたり、ご飯を食べたりした思い出。
楽しい記憶。
『あたしを、見捨てたの』
無いから、あんな寂しそうにしていたの?
本当に見捨てられたの?
「海鈴ちゃん?」
ビクッ!と体が反応する。
いつの間にか自分の世界に入り込んじゃってた。
「さっきまですげー喜んでたのに、急に暗くなってどったの?」
未來くんが心配そうにわたしを見つめてくる。
「かわいい顔が台無しだよ?」
「っ!?」
「そいつ、化粧してんだろ?台無しも何もねぇじゃねーか」
「ねーわ。その発言はまじでない。好感度ダダ下がりだわ~」
「リッキーに、好感度なんか、そもそもない」
……あ、っぶなかった……。
天兒さんのデリカシーない一言がなければ、危うくときめいちゃってた。いけない、いけない。
未來くんの「かわいい」をいちいち真に受けてたら、心臓がいくらあっても足りないよ。
でも……不意打ちはずるすぎる。



