かわいい戦争




「利希がブスだのキモイだの言うのは別にいいんだよ。……いやよくねぇけど」


「り、リキ……?」

「だ、誰だよ」



コソコソ文句を言う過激派なファンの足を払う。


よろけた彼らを蹴り倒した。



「あいつは単なる感想として言ってるだけだ。オブラートに包むってこと知らねぇから、デリカシーがねぇだけなんだよ。それにいちいちガチギレしてたらキリねぇよ」


「だから誰だ……うっ、」



私語を決して許さぬように、口を開いた者のみぞおちを容赦なく踏んづけた。


それが無意識なのか、故意なのか。

わたしにはわからない。



「俺が嫌いなのは、悪口として言う奴だ」



なんて殺気なの。

あそこからここまで距離があってもなお、地を這って伝わってくる。


淀みない憎悪が、殺気と共に直接流れ込んでは、胸を締め付ける。



「わざと傷つけて嘲笑う、お前らみたいな奴のことだよ」



あどけなく整った形相が、冷たく軋む。


拳を振るう度に、誰かを殴りつける度に

両耳に1つずつ付けたピアスが、怪しく艶めいた。



痛い。
痛いよ。

傷つけるほうも、傷つくほうも。


その痛みに一番苦しむのは、きっと、勇祐くんでしょう?