かわいい戦争




勇祐くん、何する気なの?


オロオロしているのはわたしだけ。


他の3人は、ただじっと見据えていた。

勇祐くんと同じ表情で殺気立ちながら。



……いや、正確に言うと、2人。


残りの1人――天兒さんは、



「面白くなってきた」



ピアスの形を確かめるように、舌先で上唇を舐めると。


口の端っこを吊り上げて、笑っていた。




「ははっ、ブスは最初から引っ込んでろっつーの!」


「なあ」


「……はい?」



勇祐くんは1人の男性の肩を軽く叩き、にっこり笑顔を作る。



「子ども……?どうした?もしかして迷子――ッグァ!?」



男性が、倒れた。


え。
なんで。

今、何が起こって……?



ずっと凝視していたはずなのに、一回、たったの一回だけ瞬きをしたコンマ数秒の間に、気づいたら。


男性が尻餅をついて、お腹を抑えていた。



周囲から悲鳴が上がり、他の過激派なファンが狼狽するまで、数秒ほどかかった。



「ほら見ろ、最高じゃねーか」


「天兒さん!?そんな最高って……止めなくていいんですか?」


「止める?なんで」



本気で止める必要がないと思ってる顔だ。


「止められない」でも「止まらない」でもない。

「止めてほしくない」と思ってる。



「こっからがおもしれーんだから止めるわけねーだろ」