「あたしはこの幸せを皆と共有したい。その『皆』っていうのは、グループの仲間とここにいるみーんな!そしてここには来れなかったファンの皆のこと」
ステージの上方からリタを照らしていたライトが、だんだんと暗くなっていく。
それに合わせてステージ全体も光を落としていく。
「あたしは『皆』で、今日という最高の思い出を作りたい」
リタの姿が、消えた。
他のメンバーの姿も見えない。
不安げにかざすペンライトが、緊迫としたざわめきを連れてくる。
「聴いてください。『ハピネスデー』」
グワッ、と。
心を鷲掴みにするように響く前奏。
突然明るくなったステージには、衣装を変えたメンバーが横一列に並んでいた。
両手にこぼれんばかりの花びらを抱えて。
ふっ、と息を吹きかければ、花びらは天高く舞いながらわたしたちの頭上に降り注ぐ。
わたしの元にも、花びらが1枚。
ピンク色の小さなハート型。
「綺麗……」
さっきまでの出来事が全て演出だったのではないか。
そう考えてもおかしくないくらい鮮やかな流れが、不穏な空気ごと塗り替えた。
この、幸せの色に。



