かわいい戦争




初めてかもしれない。

勇祐くん自身を恐れたのは。


勇祐くんはわたしと身長が変わらないくらい小柄だし、クラスメイトと接してるみたいにフレンドリーで、お母さんみたいな世話焼きなところもあって。


神雷で一番身近な存在だと、勝手に思ってた。



「ゆ、うゆう、くん……?」



その栗色の瞳が

鋭利にぎらつくことなんか

知らなかった。



「ははっ、いいじゃねーか。かましてこいよ」



天兒さんの一声に煽られ、勇祐くんの眼光はさらに尖っていく。



あ。

今、ピリッとした。


あふれ出ていた汗が、一気に引っ込んで、寒くなる。



殺気だ。



勇祐くんはまだ一言も発していない。

ただ殺気を放っただけ。


それなのに、一瞬で静まり返った。



……何が身近だ。


彼も紛れもなく、神雷の一員で。
幹部の1人なのに。


身近なわけが、ない。



「……てめぇら、」


「皆、あたしのために、ありがとう」



勇祐くんの低音にかぶせて、満を持してリタが口を開いた。


この静けさを好機だと言わんばかりに。



「あたしに会いに来てくれてる人がこーんなにいるなんて、すごくすごーく幸せだよ!」



「リタちゃーん!!」

「俺もー!!」



「でもね」



過激派の歓声に一笑しながら、続けて話す。


アイドルスマイル。

完璧な“かわいい”を、なぜ今も作れるの?