かわいい戦争




リタの焦りが、他のメンバーにも伝染して。

しまいには観客全体に拡散していく。




「何なんだよさっきから!」

「せっかくのライブを台無しにすんな!!」

「リタちゃんだけのライブじゃない!」


「そっちこそ台無しにすんじゃねー!!」

「主役はリタちゃんだぞ!?」

「他のメンバーなんか見なくていい!」




最終的に、ファン同士が言い争いを始めてしまった。


始めは過激派の近くにいるファンが注意する程度だったが、お互いにどんどん激昂し、口喧嘩に発展していったのだ。



「……やめて。やめてよ」



お願いだから。

ぶち壊さないで。


リターー璃汰の、晴れ舞台なの。


想像してる以上に頑張ってきたはずなの。


この日のために。
ファンのために。


報われてほしい……のに。


どうしてその努力を、ファンが、水の泡にしようとするの。



「ブスはいらねぇんだよ!!」


「やめ、っ!」



視界に、入る。

制止をかける、大きな手。



未來くんの向こうから伸びるこの手は

勇祐くんのだ。



勇祐くんのいるほうを一瞥する。


……驚いた。


わたしよりも彼のほうがずっと、憤っていたから。