かわいい戦争





さしずめあの子はお姫さまで、わたしは侍女。


わたしは、あの子のもの。




歩く度に、首元のチョーカーが揺れる。



わたしの名前に入ってる「鈴」にかけて、鈴をモチーフにしたワンポイントアクセサリーの付いた物だ。


本物の鈴のように音は鳴らないが、まるでペットの首輪みたい。



これは、あの子からもらったプレゼント。



『あたしのものだって証だから、それ』



ツンとした態度で言い放つ姿に、苛立ちも苦しみも一切感じなかった。


むしろかわいい。

とってもかわいい。



あの子以上にかわいい子を、わたしは知らない。






立ち寄ったスーパーで、お弁当のおかずを考えながら具材をカゴに入れていく。


できるだけ安く、いい物を手に入れるため。

スーパーに一歩踏み込んだほとんどの人が、そう考えるだろう。


いわばスーパーは戦場。
取るか、取られるか。勝者か、敗者か。



皆、必死なのだ。


もちろんわたしも。




「……よし!」


気合いを入れて、スーパーの奥へ進んでいった。




タイムセールが始まれば、元々戦場だった場所がさらに過酷なものになる。


なんとか山場を越えて、卵とお惣菜を獲得できたときは、本当に泣きそうになった。